次のスカラー方程式を考える.
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(2) |
この解 について,何らかの方法で近似解 が得られたとしよう.
するとこのまわりにをTaylor展開すると,
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(3) |
となる.
はのに関する導関数に
を代入したことを表す.
この式の第2項までを取って式(2)に代入すると(線形化),
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(4) |
となる.これをについて解き,それを次の近似値とする:
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(5) |
この繰り返しアルゴリズムをNewton法と言う.
真の解をとすると,だから,近似解との差は
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(6) |
である.
この式に
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(7) |
を代入すると,
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(8) |
を得る.したがって,
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(9) |
となる.この式より,
でに収束するとき,
第次近似値の誤差
は,第次の誤差の
2乗に比例して小さくなることが分かる.このような収束を2次収束といい,
アルゴリズムを繰り返す度に正しい解の桁数が倍々に増えて行く.
程度の精度であれば,数回の反復で求まるはずである.
このようにNewton法を用いて非線形方程式の解がうまく求まるのは,
``非線形と言えども,局所的には線形である''という原理に基づいている.
さて,これを次元に拡張した方程式(1)を再掲する.
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(10) |
ここではを第要素としたベクトル,
はを第要素としたベクトルである.
解法原理はスカラーの場合と同じである.すなわち,の第近似値を
とする.ただしはを第要素に持つベクトルになる.
このまわりで式(10)のTaylor展開は,
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(11) |
となる.ここで
は
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(12) |
となる,の Jocobi行列である.
ここで
は,
関数をで偏微分し,それに
を代入することを意味する.
スカラーの場合の議論と同様,線形化をはかり,
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(13) |
とする.解を第近似とすると,
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(14) |
となる.これを
について解き,
前の近似値を加えて,新しい近似値を求める.
ところが,ここで問題に直面する.すなわち,
いま解きたいについて,
という邪魔な 行列が
かかっていて,これを簡単に右辺に払うことができないのである.
この式(14)は,良く見ると次の形をしている:
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(15) |
ただし,
とおいた.
すなわち行列で表現された連立一次方程式である.Gauss-Jordanの掃き出し法や,
LU 分解などの手法が適用できて,について
解くことができる.それら解法の説明は適宜参考書を読んでみてほしい.
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