一般的には TEXでデフォルトで用いられる
Computer Modern フォントを pkfont などのビットマップで
もつことが多いだろう.それゆえ,dvips などの出力には
Computer Modern フォントはビットマップが埋め込まれ,
したがって Distiller はそれらイメージに対しては
アンチエイリアシングを精密に処理できない.
段落モードでの英文等は,
times.sty
などの使用(もしくは \rmdefault
を
Type I PostScript フォントに再定義)によって改善されるが,
数式(Computer Modern Math)は相変わらず見栄えがよろしくない.
そこで \usepackage{type1cm}
をプリアンブルで定義
すれば,PostScript バージョンの Computer Modern が
使用され,見栄えが劇的に改善する.
Distiller のデフォルトの設定は縦置き用紙になっている. このため,スライド作成専用のジョブオプションを作っておくと よいだろう.デフォルトの用紙サイズの縦横の値を入れ替える. (実際のところ,4:3のサイズであるスクリーンに適合させるには もうちょっと調整が必要に思う). また,Distiller はデフォルトでは画像はリサンプルして 画像の非可逆圧縮を図ろうとする.そこで,ジョブオプションでの 画質の調整においても,リサンプルをやめるよう設定しておけば, ファイルサイズは犠牲にするが,高品質な画像のスライドができる. (そんな苦労をしても,プロジェクタにつなぐコンピュータの方が フルカラーでなかったりして,徒労に終わる可能性もある).
この方法では日本語フォントのスクリーンフォントは,版権の 関係でフォントのヒント情報が取れず,したがって適当な サイズのビットマップフォントが拡大されて埋め込まれる.このため, 見栄えは非常によろしくない.VFlib を用いている場合は MS mincho などのフォントを指定しておかなないと,デフォルト では和田研フォントが拡大されて埋め込まれることになる. (和田研フォントが好き!という人もおられる…)
この方法によって得られる PDF と, Distiller や次の dvipdfm の PDF の差が気にならない, もしくは判らない,という人もたまにおられる. そういう人はここに書いてある記事は不要であろう.
dvipdfm
は dvi ファイルから PostScript ファイルを
経由することなく PDF ファイルを生成するユーティリティである.
ps2pdf
のスクリーンフォントの品質問題は,
この dvipdfm
ですっかり解決される.
hyperref.sty
を用いることによるPDF上の hyperlink も実現される.
ただし,prosper.cls
を用いて生成された
dvi は PDF には変換できないようである.
これは Prosper が内部で seminar.cls
を読み込んでいるかららしい.
dvipdfm
は,第7.1節に述べている slides.cls
を用いたスライド作りの際には利用できる.