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- 英文法の参考書を買っておくことをお勧めする.
英英辞書も非常にお勧め.
- スペルチェッカを利用する.UNIXでは ispell が
使い勝手がよい.(昔からある spell は近年全然役に立たない)
ispell は以前日本語をdetectすると文字化けしていたが,
最近のバージョンでは日本語はスキップしてくれる.
- 英語論文での態の主役は受動態である.受動態を用いることにより
文章に客観性をもたせることができる.しかし,全く能動態を使っては
いけない訳ではない.能動態で,筆者が主語になる場合は We を用いる.
単著では I を用いることが論理的ではあるが,
I が用いられた論文をほとんど見たことがない.
- 英語論文での時制の主役は現在形である.論文執筆時点ですでに
行われた実験などについても現在時制で記述することが多くなった.
過去の文献を引用し,その内容を簡潔に述べる場合,研究の歴史
などを述べる場合のみ過去形や
現在完了形を用いるようである.
また,結論(conclusions, concluding remarks)
などで本文で述べられた事実の要約を述べるときに過去形が使われることもある.
- タイトルでは,前置詞,冠詞,接続詞は小文字を用いる.ダッシュ(-)で
つないだ複合語は,接続部の先頭は大文字にする.
例:Self-Similarity
なお,using は通常小文字にしているようである.
- 数値と普通の名詞による複合語の場合は,
その名詞は単数形である.
(例) 3-fold, 5-period
- 名詞が形容詞的に使用される場合は,その形容的名詞は
決して複数形にはならない
- 論文は断定的に書かなければならないことが多い.つまり,
think, guess は決して用いず, conclude などを用いるべきである.
しかし,どうしても推量をはさまねばならないときは,単なる思い付きでない
ことを匂わせるため consider を用いる.
- ピリオド,コンマは punctuation (句読点)である.これらの直後には
空白を必ず入れなければならない.
(例外:下記ラテン語,数値など)
LATEX ではこれら句読点の後ろに
ホワイトスペース文字がなければ単語の区切りとみなされないため,
段落右端から文字が飛び出したり,前の行で単語間のスペースが
やたら空いてしまうことがある.(justification が働くため)
- 行頭の句読点,行末のカッコの始まりは禁則といい,そうならないように
しなくてはならない.(通常,ワープロ,LATEX などの組版システムが
それを避けてくれる)
- 略語を定義するには,次のようにする.ab. は不可.
(例)... is an ordinary differential equation (abbr. ODE).
- 冠詞について.定冠詞 the と,不定冠詞 a(an) をどう使い分けるか, および,
名詞に冠詞をつけるかつけないかの判断は一般に難しい.
一般的に次のことが言えよう:
- 名詞には数えられるもの(可算)と数えられないもの(不可算)とに
分けられる.大抵の辞書には,C(countable),U(uncountable)の表示に
より知ることができる.同じ単語でも可算,不可算で意味が異なる場合がある.
この C, U の表示が無い辞書は(英作文で)役に立たないので買い替えることを
お勧めする.
- 名詞の複数形にはもちろん不定冠詞はつけないし,多くの場合は定冠詞も
付けない.
- 可算名詞には不定冠詞をつけることができる.
逆に,不可算名詞に不定冠詞は絶対つかない.
- 固有名詞は不可算で,冠詞は一般につかない.
- 特定の物に関しては単数複数に関わらず定冠詞をつける.
- 不可算名詞には複数形がない.
- その名詞がその文以前に不定冠詞付きで一度出現し,その文でもその
目的物を特定して指すならば,定冠詞を用いる.
- 次の単語は,形容詞で修飾されても数えられない.(これらは
複数形にしていたら大抵 ispell は検出してくれる)
advice, behavior, damage, energy, equipment, evidence,
fun, furniture, homework, information,
machinery, mail, merchandise, music, news, progress, safety,
scenery, strength, traffic, training, treatment,
whether, wisdom, work.
- 単数複数同形の単語がある.
audience, class, club, committee, company, staff, team
- 常に複数形の単語がある.
police, people
- data は datum の複数形であるが,
最近は単数形として扱われることもある.
- 2個以上の単語を等位接続詞でつなぐときのルール:
A, B, C and D.
E, F, G or H.
- 等位接続詞 and は,その両側は意味的に対等でないといけない.
特に文と文をつなぐときは注意を要する.例えば,受動態と
能動体を and でつなぐことはあまりいいアイデアではない.
- another は an + other であるので,another の前には冠詞は付かない.
- 日本語の文章における接続語をいちいち逐訳すると,極めてバランスの悪い
英文となる.日本語における接続詞(語)は,英文においては
接続詞と副詞(句)の二つによって表現できるが,それらはハッキリ
使い分けねばならない.
一般の学術論文において But と And から始まる文章はないし,
始まる必然性もない(ただし,皆無でもないが…).
文章と文章が意味的に切れる以下の場合を除き,
日本語の直訳による接続語(思考連結語)を多用しないこと.
- 帰結: hence, therefore, thereby, thus, consequently, accordingly
- 理由: for, because, since, as, indeed, in fact, for the reason that
- 逆接,対照: but, though, although, while, whereas, however, nevertheless, yet, in spite of this, conversely on the contrary, unlike this
- 焦点を絞る: in particular, particularly, especially in fact
- 情報の追加: moreover, in addition,
- 仮定,条件
- 動機
- 類似
- 例
- 言い換え,要約
- 話題の転換
- 古い情報の確認
- 先の情報を指す
※注意;以上は接続詞,副詞(副詞句)を区別せずにリストアップしている.
- 数式も文章の一部である.数式の末尾にコンマやピリオドを適切に
入れねばならない.※日本語の論文はこの習慣はないようである.
- 良く使用される略語,ラテン語は次の通り(ピリオドの位置に注意):
- 〜など: and so on = etc.
- その他の者: and the others = et. al.
- 例: for example = e.g.
- つまり,すなわち: namely, that is = i.e. (=id est)
- あらかじめ: in advance = a priori
- 同じく,同上: in the same place = ibid. (= ib.)
- 逆もまた同様である: vice versa
- 必要十分条件: if and only if = iff
- 上記引用文中に: loco citato = loc. cit. = l. c.
- 数式中に用いた変数の説明は,式の記述が終わった直後に,
where から始める.
- 数え上げによって文章を記述する場合,
Firstly, Secondly, Thirdly...
- Figure, Table, Equation, Section の番号を本文中で参照するときは,
通常それぞれ,Fig., Tab., Eq., Sec. と略して番号を振る.
複数形には Figs. 2 and 3, Figs. 5-7, などと用いる.これらの略語が文頭に
来る場合は省略しない.
(例) Figure 5 shows ...
- let を使役的に定義として用いることができる.このとき
主語は be で受ける.
(例) Let be a positive-define matrix.
- 数値を含む複合語は,数値が1以上でもつながる次の単語は単数をとる.
(例) 5-period
- per を含む割合の表現には単数形をもちいる.
(例) 20 mph = 20 mile per hour
- 「近付く」という意味での,approach to xxxx という
用法はない.approach は一般に他動詞なので,approach xxxx である.
- 同様に,discuss about xxxx という用法もない.discuss xxxx である.
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Tetsushi Ueta
March 18 2006