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情報系3年生でA6について調べようとしている人たちへ

上田哲史

July 19, 2018

まえがき

2018年6月の系会議にて3年生の講座仮配属に関するルールが決まったようだ (ウエタは欠席).詳細は知らないのだが,3年生から本A6講座に来る諸君が 現れるということは間違いない.

この書は A6を特に宣伝するものでもなく,また,不当に他の研究室のことを とやかくいうことはしない.この頁までたどり着いた人にだけでもいいので 「研究室の決め方はそれでいいのか?」とだけ訴えたい. ウエタがガヤガヤ言おうが明確に目的を持っている人は以下の文書は不要である. 読んで欲しい対象は次の人たちである:

卒業研究テーマに対する希望の無い人

やりたい研究テーマがわからない,何をやってもいい, という人は一定数居るようである.

卒業研究テーマは,先生が「これを一緒にやってほしい」という思いが詰まっている. 流行りや世の中の要求などをみて無邪気にテーマを設定することは多分 ほとんどなく,先生方の普段の研究の積み重ねから「できそうなこと」を 想定して盛り込んでいるはずである.つまり勝算は予め存在するのだ. ただその勝算をテーマや簡単な説明から見出すことは難しいし,実際自分が 出すかも知れない成果がどれぐらい学界,産業界などにインパクトを与えるのか を,今度は逆に自分が見込まねばならない. 配属の前後で仮テーマが示されるとは思うだが,それらを眺めてから 決めるのでは遅い.この項を読んでいるような明確な意志のないであろう人は, やはり各先生のワークを事前に研究し,上記の「見込み」を推算する必要があろう.

教員の研究業績資料としては大学が公にリリースしている 研究者総覧 が便利であろう.これ以上の情報源はない(はずだ). 研究活動のタブにある「専門分野」「研究テーマ」に卒研テーマの方向性が 垣間見えるはずである.さらに「著書・論文」頁では先生の旬な研究内容が 羅列されている.英語論文も多いかもしれないが,いちいち専門用語について 検索するのをおすすめする. さらには,関連情報タブを押せば,先生が学内の他の先生とどれだけ コラボしてるかも分かる.

他には,先生の名前をそのまま検索エンジンにかけ,表示されるデータを 整理するも手かも知れない. ただし先生以外の別人の情報も沢山リストアップされるだろうから,ホンモノを 弁別する必要がある.学外のより信頼できる研究者情報源としては, 日本語論文に関しては, CiNiiがある.この「著者検索」を 使ってみよう.先生の名前を入力する必要がある.論文タイトルとは別に 概要が表示されるので雰囲気は分かるだろう.英語論文であれば Google ScholarScopusなどが手軽である. なお,Scopus は本学が結構な契約料を 払っている文献データベースであり,著者検索だけでなく, 文献検索に活用して欲しい. その先生の学外者との関係は, SPYSEE2で調べても面白い.

口コミだけで講座を決めようとしている人

ウエタの観測では,これで講座を決める人が圧倒的多数である. なぜそのような噂を疑ってかからないのか.いい噂であろうが 悪い噂であろうが,それらを流す人の主観が入っている.

クラスの雰囲気,口コミ,友人関係から得られたその掴みどころのない 情報に流されて入ってきた輩に限って, 講座に入ってから「思ってたのと違う」とか文句をいう. 噂が自分で本当かどうか確かめねばならない.先輩や同級生の口コミでは, 悪い噂(例えば時間的拘束が長い,教員が 恐い,研究内容が自分に役立たない)は,平均的には正しい指標では あるが,それが自分の感性ややる気と合致するものかどうかなど分からない. 逆に良い噂であっても,講座に引き込む甘言・まやかしかも知れない. 真実は自分で探るしかあるまい.事前に講座開放/ 研究室紹介が公なプログラムとして組まれると思うが, それらイベントは決して欠席してはならぬ.

(以下,鋭意執筆中)

「楽したい」と思ってる人

この人は上記の口コミで動こうとする人たちも含まれる. 楽ができる,というのはどういう指標なのだろうか.

予め言っておけば,日本の工業産業界は理工系大学卒業者で構成されているので, 日本の大学の制度としての授業や,実験・実習,卒業研究の本質を知っている. すなわち,3年生,修士1年生などのレベルに合わせて志願者のコアな実力を 測る術を熟知している. 企業も昨今は多様な入社試験を行い,人材の 見極めをしているが,恐らくは基礎技術力の沈着,知識の掘り下げ度合いを チェックしてくる.担当者もどのみち同じように大学で勉強し, 卒業研究を過去に行っている人であるので,その志願者が専門科目授業や 実験・実習,卒業研究を,どれだけの意気込みでとりかかり, どれだけ深掘りしているかをのは測定するのは容易である. SPIや筆記試験などは付け焼き刃でなんとでもなろうが, 深さの方ははごまかしが効かない.

楽ができるような研究は当然深さは無い.もしかすると配属だけ適当に済ませ, 就職を「現在は配属されたばかりで研究は進んでません」と言い訳しつつ 乗り越え,内定後は卒業研究を最小限のエネルギーでこなすことを 目論んでいるのかもしれないが,それは入社後の自分に思いを馳せられない, とてもおめでたい人としか言いようがない.入社後はむしろ大学時代より激しい競争に さらされる.一つのプロジェクトに全神経を集中し結果を出す必要がある. 卒業研究という,教員と自分だけしか居ないプロジェクトに全力を出せない人が, 社会に入ったら本気出す,多数の人間が関わればできる,など と考えていたら実に滑稽である. ホントに入社後に(それまで発揮したことが無いような)パフォーマンスや アイディアが 自然発生的に湧き出すとでも思っているのだろうか?何が根拠なのだろうか?

先生の人柄で決めようとしている人

これもやむを得ない指標だとは思う.授業も態度も厳しい先生のところに敢えて 最初から飛び込もうというドMな人もなかなかいるまい.やさしそうで 丁寧に教えてくれそうな先生に付きたいのも分かる.止めはしない. とにかく,先生方のいろいろな側面を,いろいろな情報ソースから仕入れておく べきである.

A6について

まずは先生方の情報は,研究者総覧の情報センターの頁 を御覧ください.

前提

そもそもは4年生になった時点で,ほとんど必要な単位は習得済みであって 卒業研究に支障がないようにしなければならない. 卒業研究は,問題の設定やおぼろげなゴールの想定はあるかもしれないが, 「ここまでできたらオワリ」というものではない.研究の各過程にはそもそも 王道や正解は無い.

博士前期課程(修士)について

近年,情報系では,博士前期課程進学者が少なくなってきている. ウエタの読みではこれまた先輩や同級生の口コミによる影響である. 講座の研究アクティビティを高める主役は院生であることは ほぼ間違いがないため,大学院進学者が少なくなることは直接 研究成果の低下につながる.したがって近年は進学率低下に歯止めをかける ことに躍起になる,という次第である.

かつては知能情報工学科でも「皆が進学するから進学します」的な人が 膨らんだ時代があった.しかしこれもまた由々しき事態である. 単に卒業が二年延長されたのと変わらないクオリティの人が乱発された. (現在も,口が悪いが,そんな感じの院生は多数いる).

大学院生の数的な大小はさておき,問題なのは今も昔も「大学院に 入ってまで何をするのか?」を自問できないこと,その答えを進学前までに ある程度出すこと,進学してからやるべきことに没頭することが できない人ばかり輩出する教育課程になっているのではないか ということである.

修士課程は20年前ぐらいは結構過酷な競争試験になっていた. 大学全入時代に入るのと同様,大学院全入時代に突入し,しかし,大学院を チョイスするメリットを知らなければ,学部卒で手っ取り早く金を稼ぎたくなるのも わからんではない.逆に教員として反省する意味で言えば,大学院に進学する 意義をはっきり教員から伝えることができていないと言えよう. われわれの姿勢によっては,進学メリットがほんとに無いことになってる かも知れない.

ここでは,院修了のほうが基本給が高い,ベースアップ率が高い, 専門性の高い部署に配属されやすい,などの分かりやすいメリットとは違う ややスピリチュアルな観点の勧誘をしておこう.

それは「遮断と没頭」を試す最後の期間を得ることである.

これは別に学部時代にそうしてもいい話であるが,学部のうちは 単位取得にがんじがらめなので,あえて大学院でやってみるべきである. 前者は「無益な情報の遮断」である.SNSや多くのメディアが今や諸君を 取り巻き,それらから発せられる無用な情報で, いよいよ自分を見失うばかりである. 入力ソースを限定せよ.雑多な情報で埋もれば,それらの平均場でしか 自分の行動を決定できなくなる.後者は,没頭の世界に自分をスイッチさせる 訓練である.遮断によって環境が整う.没頭と平常を自在に遷移できるように なればしめたものである.最近,ゲーム以外で寝食を忘れたことはあるか?

社会をリードしている人たちは,おそらく学生時代や下積みの段階で これらを実践できている.業界によっては情報を遮断してはむしろ困る場合も あるし,管理職が没頭ばかりはしていられないが,「かつてはやった,その 経験がある」ことが重要である.一つのことに集中する.誰よりも掘り下げる. それをやったかやらないかで未来は決まるといっても過言ではない. 最後のチャンスが,修士2年間に残されている.(多分二年目は就職活動で バタバタするだろうから,結局実質1年しかなかろう)

入社前課題などについて

就職の決まった学生に対し,内々定式,内定式などで呼び出すのはまだいい.い や,むしろそれには必ず出席し,将来の同僚と早めからコンタクトをとっておく ことは何らデメリットはなかろう.

程度の悪い企業は,内定者の在学期間に,XX試験受験,資格の取得, セミナーへの参加,レポートの作成などの宿題を課 するようである.そんな非合理な宿題を出された学生は「就職後の査定に響 くかも」「やらないと損」と考えるのは無理もない.しかし,これほど大学をバ カにした宿題はない (きちんとした会社はこのような宿題は出さない). 残念ながら本講座ではそのような宿題を大学でやることは厳禁である.就職活動 中にも「そんな宿題出ませんよね?」ぐらい確認しておいてほしい. その宿題のために,本来没頭せねばならない卒業研究の時間・エフォートが確実 に減らされる.【注:いくつかの大学が実施する,大学に合格した人に課する 「入学前教育」とは質の違う話である.】

実際にそんな宿題が出された日には,指導教員との協議にはなると思うが, 企業側の「即戦力」にするための策が,実に底が浅くて情けない. 「手順や答えのない課題」に真剣に取り組もうとする学生の意気込みを奪って, 入社後に自社ですればいいようなことを何故学生時代にやらせるのか…インター ンシップと間違っているのか?

かくいうウエタの経験

上記ではさんざん好き放題書いたウエタであるが,ウエタの研究室選びは どうだったか.歴史順では という感じになっており,上記の主張と著しく矛盾する.ウエタはそれで実は 極めてうまくいった.しかし,それは単に運が良かったからだと思う. 必ず自分の目で見極めよう.



Contact address: ueta @ tokushima-u.ac.jp
2018-07-19