お金に関することと買物


送金について

在外研究員としての手当は,役職に応じた日当と,旅客運賃,それから 準備金からなります.通常,各大学のフォーマットによる旅費申請にしたがって 派遣前に,自分の銀行口座(出張旅費の振り込まれる口座)に 振り込まれる仕組みになっています. 長い期間ですから振り込まれる手当もかなりの額にのぼります.それらを ほとんど全て出張先のローカル銀行に送らねばなりませんが,現地に行かないと 口座も開設できないわけで,しばらくは日本の銀行にプールしておかねば ならないでしょう.渡航後送金する場合,電子送金となって, 送金手数料を取られます.これは金額には関係なく,一律5,000〜4,000JPYです. 米国の銀行では口座にこの電子送金を受け入れるのに手数料を取ります. したがって,小額をチマチマ送るよりは明らかにまとめて送った方がお得です.

CITIBANKに口座を開設すると,次のような特典が受けられます.

  1. 口座開設・解約は郵送でOK
  2. 海外送金は無料
  3. TC(travelers' check)の発行手数料が無料
  4. 送金指示は電話一本(海外国内フリーダイヤル)で可能.これは配偶者など, 送金を代理でやってくれる人がいない方には随分便利だと思います.
  5. さらにインターネットを使って取り引きできるようにもなりました.
  6. 送金時の為替レートは,わりとリアルタイムな外国為替市場の相場で決定して くれますから,「ここだ」という時に送ることができます. (為替と全く一緒ではありません.平均為替+2円ぐらいです)
ただし,次のようなウラもあります :-)
  1. CITIBANK口座(円立て口座,マルチマネーとも)は,前月の残高平均が 300,000 JPY を切ると,口座維持費を月々2,100JPY取られます. したがって,手当をまるまる送るわけにはいかなくなります. ※ただし,CITIBANK カードのゴールドカード保持者はこの維持費を 払う必要がありません.
  2. 海外送金がタダになるのは,三ヵ月平均残高が1,000,000 JPY ある場合です.
  3. 海外送金可能な取り引き銀行は決まっていて, まったく任意の銀行に送れるわけではありません.マイナーな銀行には 送れない可能性があります.
  4. 送金する銀行のリストをあらかじめ登録しないといけません.しかも これは郵送手続きになります.口座開設時にこの登録申請をもらって おきましょう.さもないと,現地に申請書を送ってもらって,それに記入して, また送り返して,さらに一週間ぐらい登録に時間がかかります.平気で一ヵ月 ぐらい空費しますので注意が必要です.(私はグズグズしてる間に為替レートは 5円ぐらい一気に落ちました)
日本のメジャーな(?)都市でないと CITIBANKの支店がないのが普通ですから, ローカル銀行に振り込まれた手当を,一旦CITIBANK支店に電子送金する 必要があります.(海外送金はさらにこのあとCITIBANKに指示します). 日本の銀行間の送金は,ATMを使用すれば通常 670JPY です.金額に無関係です. 口座開設時に1,000,000 JPY の残高がないと送金がタダになりませんので, 渡航前に速やかにCITIBANKへ移動させないといけません.

銀行口座の開設, パーソナルチェック

アメリカでは銀行の取り引きなしには生活できません.(日本でもそうですが) もちろん手当を送金するわけですから,その受け入れ銀行を作らねばなりません. ※アメリカの「郵政省」にあたる US Postal Service は,金融業務としては 郵便為替以外はやってないと思います.

口座にはいろいろ種類があり,直接関係するのは利子なしの checking account と 貯蓄の saving account の二つです.後者はもちろん預け入れ金額の一部を 定期に回して運用することもできますが,課税対象となるようです.

【余談】納税については全く分かりません.日本で言う確定申告は tax return (pay?) に当たり,国税局(IRS; Internal Revenue Service)に申告しなければなりません. 期限は 4月15日です.ちなみにアメリカではこの確定申告による納税・還付は 電子的に(つまりコンピュータのデータとして)取扱ってくれるようですが, さすがに電子メイルでホイっというわけにはいかないようです(^^;)

さて,銀行はアメリカではピンキリです.身近で便利のよい銀行を選びます. 私は大学構内に銀行があったので,その銀行にしました. 上記CITIBANKから送金を考えている場合は,送金可能な銀行かどうかをあらかじめ CITIBANKに問い合わせておきます.

パーソナルチェックは個人用小切手です. 5cm x 15cm ぐらいの本になっていて,一枚ずつ切り取って使います. 銀行口座の開設時に多分窓口からチェックの話が出るでしょう. チェックは,その場では発行できず,自分の氏名住所,アカウントを チェック紙面に印刷するため,2〜3週間後, 郵送で送られて来ます.多分最初の100枚ぐらいだけ無料で,使い切れば その度に印刷を依頼します.(ひょっとしたら有料かも知れません) その場では白紙のチェックをくれますから, 郵送されるまでの間の取り引きにはそれでしのぎます.

キャッシュ

通常出回る紙幣では 20ドル紙幣が高額紙幣となります. 市場では滅多に50ドル/100ドル紙幣は出回りません.実際,私は カミさんが日本から持って来た50/100ドルが初めてみる機会でした. 実際アメリカ市民も滅多にお目にかからないようです. ショップによってはこのような高額紙幣での支払いは断られることが あります.ニセである可能性が高いし,そうだった場合のリスクが 高いからでしょう. 20ドル紙幣でさえ,じろじろとホンモノかどうか確認するショップもあります. (ニセものかどうか見分けるペンがあって, 観光地の売店レジではそれが使用されることがあります. 20ドル紙幣でさえも,そのペンを使用したシミがあります.) また,アメリカ一般市民は,現金は危険であるためか, 日本人のように数万円相当の現金を持ち歩くことはありません. せいぜい数十ドルぐらいです.

買物

普段の買物は,クレジットカードか現金,これは日本でも変らないことですが, アメリカにおける買物の特徴は,パーソナルチェック(個人用小切手)が 使用できることです.

【チェックの書き方】 パーソナルチェックでは,まず,日付,支払い先の名称をまず書きます. 金額を知らされたら,それを右はじの欄にアラビア数字で書きます. ドル以下,つまり99セントまでは,ドルの右端に小数点を打って, 記入します.言葉にするとややこしいですが,23ドル45セントなら 23.45 と書きます.普通セントの下にはアンダーラインを引いたりします. このアンダーラインは分数の分母`100'を省略してるという意味のようです. 次はその金額を,チェックの中央部分に, 英語のフルスペルで書かなければなりません. ドル以下は,分母が100のアラビア数字で書きます. 上の例では Twenty Three and 45/100 となります. (One-hundred とか Fifteen とか書き慣れない数値は練習の必要あり??) 最後に署名欄にサインもします.客は以上の手続きでいいのですが, 店の方はこれから個人の認識作業に入ります. 通常 picture ID を同時に提示しないといけません.運転免許証が もっとも強力で簡単です.それがない場合は大学のpicture IDとかでも構わない ようですが,電話番号やSSNを聞かれたりします. その間,同時に自分で register book に,支払い先や 金額を記入します.これはいわば,家計簿代わりです.

スーパーのレジごときに,こんなややこしい手続きですから, 必然的にレジには長い行列ができます. アメリカ人はこれを文句も言わず待ちます. たかが十数ドルの買物でもチェックを切ります.さらにはレジで全ての 商品をカウントして金額を告げられるまでチェックブックを出さない輩が大半 です.日本人とはここのへんの感覚が違うな〜と思い知らされます. (日本人なら 並んでいる間に支払い先や日付,サインなどは完璧に記入しているでしょう) さらに個人認証や小切手チェックで問題が起きることもたびたびなので, とんでもなく時間が消費されます. スーパーでは大抵,10個以下の商品の買物,現金支払の場合には 「Express」「Cash Only」 レジが用意されてますから,ここを使うと速いことがあります.

スーパーでは大抵,買った品物を袋に詰めてくれる人がいます. 自分で詰める必要がないところは助かる(?)ところです. 店によってはプラスティックバッグと紙袋と持ってるところが あるので,どっちにするか聞かれるので要注意です(^^)

なお,飲食店,ガソリンスタンドではパーソナルチェックは使えないことが 通常です.

パーソナルチェックは,銀行での清算が終れば, 銀行経由で全て戻って来る場合もあります. 銀行によってはチェックのヒストリだけレポートが来て,チェック 本体は返って来ない場合もあります.

他人が発行したパーソナルチェックは,原則として チェックに表示された支払の相手しか換金できません. 換金するときも,(自分自身の)銀行口座が必要です.もしも口座が無い場合は, 換金屋(金券ショップ)に行って手数料を払わねば換金できません. 自分宛ての支払可能なチェックを換金するとき,もしくは, 第三者に譲る時は,裏書(endosement)をします. 自分のサインをするだけのことです.

クレジットカード

クレジットカードは銀行の口座と一般に対応はありません.入会には, 高額な入会金を払うか,日本にいる間に,日本のカードを直接アメリカの ものへと書き換えてもらえるクレジットカードに加入しないといけません. American Express はこの類です.ちなみに日本のCITIBANKの クレジットカード(シティコープ発行)は,アメリカのCITIBANKとは 何ら関係がないので,無論書き換えもできません.

もしも,アメリカでクレジットカードを作れたら,それはかなりハッピーでしょう. なんと言ってもドル決済ですから,為替相場を気にする必要がありませんしね. さて,アメリカでのクレジットカードの清算は,銀行引き落としではありません. 毎月明細とともに請求書(bill)がきますから, 上記パーソナルチェックを切って支払います.

クレジットカードは, アメリカの暮らしが長くなって,銀行での残高証明やカードの利用 履歴ができればアプライできると聞いています.(カードを作るために カード使用のヒストリが必要であるという矛盾した状態) つまるところ,在外研究員ごときはアメリカでクレジットカードを作れません.

日本のクレジットカードは,VISAかMASTERなら,どこでも使えます. もちろん,決済もドルから円に換算され, 日本の銀行から引き落とされます.円換算手数料のことを 考えると,長期滞在でバリバリ使用するにはあまりお得ではなさそうです. インターネットでカード取り引きをする場合,issuer が日本であることは 度々トラブルのもととなります. 私が経験したところでは,以下のようなケースがありました.