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非線形グループの研究について

この研究グループでは,非線形ダイナミクス(力学系)について 研究しています.これらの力学系はしばしば,線形ではない関数-- 非線形関数を含む差分方程式 , 微分方程式 , によってモデル化されます.たとえば, $\bm{x}\in \bm{R}^n$, $\bm{f}: \bm{R}^n \rightarrow \bm{R}^n$ について,
\begin{displaymath}
\frac{d\bm{x}}{dt} = \bm{f}(\bm{x})
\end{displaymath} (1)

と記述される系を考えましょう1.右辺にはなんら統計的な要素が入る余地はないにもかかわらず, 長期的には $\bm{x}$ の振る舞いに規則性が見付からない時があります. 統計的な検定を行なうと,しばしば確率過程のようなランダム性が見出されます. これは世間一般によく聞かれる「カオス」なる状況です.

現在の状態から次の時刻の状態へのルールが $\bm{f}$ と厳密に決まっているのに, やがて状態の推移は予測が不可能になるなんて,なんてことでしょう! 言い換えると,「キミはこれをしなさい」というルールは非常に単純で, 自分は,おのおのの瞬間にはその命令にしたがって規律正しく行動してるハズなのに, ちょっと一日通して働いた内容全てを冷静に思い出してみると, 何ら規則性のない行動ばかり取ってた,なんてことになってるわけです. これは線形系では理論的にありえない現象です. $\bm{f}$ が完全に記述されているにもかかわらず, 予測不能な現象を生成する事実は,ある種皮肉です. つまり,自然現象を模倣するために,余分な情報を削って美しく作り上げたモデル式が, 期待を裏切って複雑な状況を呈する.しかも削って捨てられた情報が影響 してるわけではない…

われわれは,カオスが発生するメカニズムや,方程式の構成方法などを 「分岐現象の解析」を通して調べています.

xchaos.png

非線形系微分方程式,差分方程式の解やその安定性は, 解析的に(つまり手計算で)求める事は一般に困難であり,この分野こそ, 現在華やかな発展を遂げているデジタルコンピュータの計算能力が頼りとなっています. (しかし,これは別に頭を使わなくて良いということでは決してありません)

非線形力学系の機能を工学的に応用することを目指す研究も重要と考えています. カオス暗号,連想記憶,カオス制御など広く取り扱います. また,力学系の性質を Computer Graphics を用いて視覚的に捉えることも, このグループの中核となる仕事です.

力学的構造の変化--分岐現象を引き起こすパラメータの計算方法の考案や, 分岐集合を 3 次元パラメータ空間で CG 表現しようとする研究も進められています.

以上,簡単に紹介しました.詳細は3節を御覧下さい.



Contact address: ueta @ tokushima-u.ac.jp