アメリカへの在研:J-1ビサ発行までの道のり

在研へ申し込むことが決まった時点で,引き受け先の教授やスタッフが 確定されていると思います.(後に引き受け先を変更するのは 大変面倒のようです) そこで,在研が通るかどうかは別として, 向こうとのやりとりを密にして,できるだけ決定後の作業がスムーズに なるように手立てしておきます.具体的には,「落ちるかも知れないけど, 万が一通ったら,手続きにいろいろ迷惑かけますけど,よろしくね」 とぐらい言っときましょう. 在研が決定すれば,速やかにJ-1ビザを取得する手続きを取ります.

まずは,パスポートを取得しなければなりませんが,いまどき持ってない 人も稀と思うので,省略します.ただし,渡航期間終了まで有効な パスポートでないと,ビザは降りません.数年前から旅券法が変わり, 「併記する子」の欄が廃止されましたので,これから自分のパスポートを 新しく申請し,子どもをつれて行く場合は,子どもにもそれぞれパスポートを 申請する必要があります.

J-1はアメリカで有効なビザの一種類で,学術交流を前提にした 交換留学生および研究者のビザです. 家族も一緒に行く場合は,家族についてはJ-2ビザを取得せねばなりません. J-1 ビザがないと,通常のビザ免除プログラム(IW-94)でしか入国できませんが, 6カ月以上の滞在はできませんし,各種社会サービスも 基本的に受けることが困難になります. J-2の手続きも同時にできますが,多分,本人だけ先に行ってから J-2 を 手続きし,家族を呼び寄せる方が(かなり遥かに)楽だと思います. J-2 は本人が移民局(大学内にもあったりする)で,簡単に手続きできます.

J-1を取得するには,引き受け先の大学の許可が必要になります. この時点で引き受け先が invitation letter を発行してくれたら楽そうですが, 実際は後々の文部省の手続きのため,この時点では書いてもらわない方がいいです.

まず最初に引き受け先大学において,IAP-66というビザ発行プログラムの 手続きをしなければなりません.これには向こうにいる誰かが,その大学の 関連組織,もしくは移民局に行って手続きする以外しようがありません. もちろん,こっちからもリモートで出来るのでしょうが,その手間はトンでも ないものと思います.もし,誰かが現地で手続きをやってくれるなら,それは かなりハッピーですし,私もそうでした.そうでない場合はちょっと判りません.

まず,IAP-66の発行のための申請書を手に入れます.これは,向こうの教授に 申請書を一旦ファックスしてもらい,必要事項を記入してFAXしなおし, 後は教授と移民局の人がやりとりして正しい項目を埋めるのが安全です. その他,次の書類が必要です.

  1. 現在所属している日本の大学において,渡航に関する全費用を文部省が 負担し,その金額を明らかにする書類の作成が必要です.この書類はのちに 再利用しますから,コピーしておきます.
  2. アメリカでの医療にかかる費用支払いを保証するため,医療保険に入ることを 強制されますが,その証明が必要です.これはその時点で, 日本での生命保険会社の渡航期間医療を保障する 海外旅行障害保険に入れば,その保険の証明を英語で書いてもらい,添付します. もし,間に合わない,もしくは渡航後,アメリカの医療保険にはいるつもり なら,渡航後速やかにmedical insuranceに入りますという確約書 (個人的手紙)を書けばOKです. 私は確約書を書きましたが,保険会社は日本のものにしました.その場合は, 到着後,移民局で再手続きすれば構いません. なお,日本の保険であれば,滞在中に保険会社が現地で 支払ってくれるタイプの保険かどうかを確認しましょう. 滞在中は自己負担して帰国後請求するタイプのものが多いので注意が必要です. ★アメリカの医療費は極めて高額です!
IAP-66の申請には約70ドルかかります.私は教授に立て替えてもらいました.

さて,現地での色々な申請に関してこまごまと費用がかかります. (他にもアパートのデポジット(敷金)とか) 電子送金には,実際4,000〜5,000円近くかかってしまいます.その後も いろいろ向こうでお金がかかることが予想されます.誰か立て替えてくれる 人を立てておく,もしくはあらかじめまとまったお金を一度に教授に送っておく などの絡め手をとっておくと良いかも.立て替えを頼むのは心苦しいので, 借金申し込みの形で潔く行くか(これは立て替えと一緒か…), 相手が提案してくれる(金,貸しとこか?)のを待つのも手かも知れません.

さて,この手続きを経て,後は移民局での内部作業によってIAP-66 formが出来上がり ます.しかし,大抵すぐさまできません. Houston大学ではわずか2週間で終了しましたが,UCLAでは数カ月かかるようです. 在外研究員の決定通知から渡航までが短いケースも考えられるので, 注意が必要です.

移民局での手続きが終了すれば,今度は文部省への手続きが必要です. 受け入れ先の大学の学長もしくは部長クラスの人の invitation letter が 必要となります.しかも,「サバティカルである」とか,研究期間, 「渡航費用は文部省が負担すると理解しています」などの言葉を入れるように, 事務側から要求されるかもしれません.(純粋な招待レターとは思えんなぁ) さらには,日本語に訳した文章も同時に提出しないといけないかも知れません. (これは自分で訳します) 同時に,旅行会社の旅客運賃見積書が必要となります.正規ノーマルの料金 であることを前提に,多くの会社から見積もりを取って最安値のものを 提出することになってます.これは申請時と同じ会社であれば問題ないでしょう. 正規運賃が変動し,高騰した場合も,差額が支払われることはないようです. 逆に安値が着くと変更手続きを取らねばならないため,面倒くさいことに なりますから,数千円の変動なら,申請時と同じ値段にするよう,旅行会社に 申し込みます. その他には,旅行命令書とかの書類は,普通の出張と変わらない手続きです (ただし振り込まれるお金は莫大ですが)

IAP-66のフォームがアメリカから到着します(もちろん,送ってくれるように 手はずしていれば,ですが).時間がある人は,IAP-66とパスポートや ちょっとした書類を持って,米国大使館もしくは領事館に行って手続きを するといよいよVISAが出ます しかし,領事館の近くにでも住んでない限り,行くこともできませんし, はるばる行ったところで,不慣れなことで手続きが失敗するかもしれないので, 普通は代書屋に頼みます. 代書屋に頼めば,さらに申請書(IAP-66からビザにするため)とその質問書が 送られて来ます.

これらの書類と, を添えて,代書屋に書留で送ります. 通常16,000JPY程度でやってくれます.自分でやると領事館への申請・交付 の45ドルしかかかりませんけどね

一週間ほどで完了し,代書屋がパスポートと封筒(IAP-66が入っている) を書き留めで送ってくれるでしょう. パスポートには燦然と輝くJ-1 VISAのシールが貼られているはずです.