車の取得について.

アメリカ,特にここテキサスでは車は必需品です.急成長のために 公共交通網が整備されなかったためらしいです. メトロなどのバスもヒューストンにはありますが,目的地まで いくつかの路線を乗り継ぎ,バス停を渡り歩かなくてはならず, 時間的にもあまり便利なものではありません. やはり自家用車を手に入れると アメリカでの生活は楽しくなるでしょう.

一年程度の一時的なな滞在ですから,自家用車を購入すると 言っても,帰国前には売りさばくことを考えなければいけません. つまり,購入時の費用と, resale したときの車両価格の差額が,アメリカでの マイカーライフの費用と考えるべきで,それをできるだけ抑えることが 肝心です. レンタカーだけで一年間乗り続けるのは大変不経済です:-)

新車の購入は,初期費用が非常に高いのと,一年すると車両価格は ぐっと下がるという点から,お勧めできません. ところが,市場価格とリセール価格の安定した 2〜3年落ちのものは,ディーラーでは非常に高価です.また,人気車種は そのメーカーのディーラーでもあまり(新車以外)お目にかかれません. もちろん,ディーラーは沢山ハイウェイ沿いに存在し,その規模といい, 在庫といい日本のそれとは比べ物になりませんが,日本車はホントに少ない のです.これは日本車が壊れず,丈夫で,信頼性が極めて高く,そこそこの デザインで乗り手を満足させ,手放す理由がなくなるためだと解析できます.

現在特に人気は,トヨタのカムリと,ホンダのアコードです.これらは 新車では手に入りますが,大変高価です.また数年落ちのこれらの中古は めちゃめちゃレアで,あったとしても値段もかなり高めです. 面白いことに,これらの車両は,年式が古くてもなかなか最低価格が 落ちません. さらに中古のシビック,カローラなども非常に人気が高く,中古シビック・クーペ などは,8つぐらいのディーラーを回ったのですが,発見できず, ホンダのディーラーにでさえ,ありませんでした.

自動車メーカ系でないディーラーも沢山あります.CARMAXなど全国チェーンの 中古車販売業者は,だだっ広い敷地に ひたすら車をならべています.ビル内には在庫を一覧できるコンピュータ(PC)も 置かれています.しかし,この端末から(安い)日本車を表示させることは 出来ません.在庫がないからです.

車の個人売買

日本ではほとんど考えられないのですが, 本質的に車の売買は個人売買です.スーパーの掲示板, 大学のロビーなどの掲示板,フリーのローカル新聞などに個人売買情報が 多く掲載されているので,それを念入りに探します. 町中でも車のガラスに For Sale という札をぶら下げた車もよく見掛けます. フロントグラス一杯にでっかく金額をペイントしてるのもあります.(それで平気で 運転してたりします.危ないだろが〜) そういう車を呼び止めるも勇気がいると 思いますが…

個人売買で気を付けたいのは,権利(title)の移動の 完全な手続きをすることです.できれば裁判所(court)などへ売り主と出向き, 係員に聞きながら必要書類を書き込んだ方が安全です. このとき,取り引き額を申請し,それに応じた税(価格の7%ぐらい)を納めます. 権利の移動ができてないと,次に売却できませんし,税を納めなかったら 後に追徴課税されます.手続き時に売り主の行方が分からなくなってしまうと 署名でトラブルとなりますので気を付けましょう.

車検は一年に一度行います.期限の書かれた検査証ステッカーを フロントガラスに貼る方式.日本と同じです. 車検は強制保険とはセットになっていません.(下記参照) 車検自体も非常に簡単だという話です.

免許について.

テキサス州は,国際免許は到着後30日しか有効と見なされません. 運良く一年間国際免許で通したという人もいますが, (多分検挙する側もいつアメリカに来たかとか調べるハメになって 面倒極まりないという感じでしょうか) 個人で自動車を所有し,任意保険に加入するには,州の発行する driver license が必要不可欠です.

免許証は,この国では付加価値を持っています. 買物やいろいろな申請などに,パーソナルチェックを 使うのが一般的ですが,その時に大抵 picture ID の提示を要求されます. (所によっては電話番号やSSNでいい場合もあるようです) レンタルビデオ屋でも,会員証とは別にpicture IDを見せねばなりません. そのとき,picture ID としてのパスポートを見せると 意外にも悶着を起こします. 店員がわらわらと集まって来て,さらに細かく質問されたり, SSNは何だとか,電話番号は何番だとか,非常にうっとうしいことになります. さらには,パスポートでなく,日本で発行した国際免許なんかを 見せたた日にゃ,そりゃもう街の人気者. 結局パスポートも出さねばならないハメになります. その点,driver license は,州で発行された個人の 認識票みたいなものですから,極めて信頼性が高いわけです. 普通のクレジットカードと同じサイズで,電磁的に個人情報が 記録もされてますから,スーパーのレジでスキャンされることもあります. 大げさに言えば,運転するため,というより, picture ID としての付加価値を得るため, driver license を取っておく,という考え方もできます.

さて,driver license は 近所の免許センターに行って試験を受けます. テキサス州の場合,国際免許を持っていても,学科試験,実技試験の両方を 受験せねばなりません.(国際免許は何の役にも立ちません) 申請時に必要なものは,パスポートとSocial Security Card です. 多分 Social Security Number のみをメモっておくだけでも大丈夫ですが, 窓口のオンラインで確認が必要になります.そういう面倒を考えても カードを持って行った方が賢明でしょう.

Social Security Number を取得しないとライセンスは 取得できないことになります.しかし,学科試験だけは受けることができます. J-2, L-2 ビザの人は直接 Social Security Number をもらうことが できなくなったようですが,この学科試験合格証をもとに Social Security Number を申請することができるようです.

さて,受験前に申請書にいろいろ記入しないといけないのですが, 大型の免許でも取ろうと思わない限り, Class C の免許を申請します.申請用紙には名前や住所,人種や眼,髪の色まで 記入せねばなりません.身長はfeet/inch, 体重はlb(ポンド)で答えねば ならないので,あらかじめ計算しておくとよいでしょう. (license に記載されます) 人種(race)は日本人なら Asian と書けばよいようです(私はマヌケなことに, Yellow なんて書いてしまいましたが) その他細かい質問(過去の運転経験,健康状態など) をYes/No で書き込みます. $24 を申請時に払います.その日に合格しようがしまいが,費用はこれだけです. 辞書を持ち込みたい場合は, このタイミングに併せて伝える必要があるようです.

テキサスの場合,運転免許センターは,State of Texas Department of Public Safety Drivers License Office (DLO) という名前だったりします. ヒューストン市内にも10箇所以上あります.全米でも多くの都市は複数の DLOを持っています. 私はヒューストンでは都心部から北西に当たるDLOで受験しました. 午前8時から申請受付を開始しますが, 午前7時40分の時点で50人近くが並んでいました. (これは試験を受けるだけじゃなくて,更新とかその他の申請に来た 人も含むと思います). 朝イチで申請し,学科試験をパスすると,その日の午後3時には 実技試験が受験できます. 実技試験は,すでに日本で免許を持っていて, 米国でも多少運転経験がある人は,絶対落ちっこありません. むしろ,任意保険の加入と車検,車両の整備が問題と思います. ウィンカーとか一つでも点灯しなかったら,路上試験にまで 到達しないので要注意です. (でもこの試験場に無免許の人が車を運転して自分の車を持ち込んで来るのは どう考えてもおかしいと思うんですが...もちろん誰か別の人が同乗して 来てたりもします.)

実技試験に合格すると,すぐに免許の交付手続きをします.写真も撮影しますから, ブラシや化粧品も持って行った方がよろしいかも.免許自体は 2週間ぐらい後に郵送されますが,その間の期間のために, 同じ license number を印字してある temporary license を発行してくれます.単なる紙切れですけどね. アメリカで初めて運転免許を取得された方は,帰国後,日本の免許に 書き換えるためにこのtemporary licenseが必要です. (これはアメリカのlicense には発行日の日付がないためです)

保険について

アメリカでは日本のような強制される自賠責保険がありません. しかし,任意保険への加入は義務になっています. 任意保険は電話一本で加入できます.(電話での連絡・見積もりが出来る方なら, ですが)また,任意の指定日から保険を有効にできます.通常一年契約で, 支払いは半年ごととなります.上記のように,その州の driver license が ないと基本的に加入できませんが,車両が確定していれば,試験を受ける ために一時的に有効にできます.しかし,その場合,2週間以内に driver license を取得することが義務づけられます. ※なお,アメリカでは6ヵ月より短い期間の保険証書は発行できません. 日本で自家用車を持ってる方で任意保険を かけている方(普通かけてますよね)は,国内にいるうちから,保険の状況 (氏名,車両名,保険期間,割引率)を英語に訳して出してもらいましょう. No claim certificate という表題の統一フォーマットになってると思います. 大抵の保険会社は無料でやってくれるはずです. この claim があると保険のカバレッジが同一の値段で大きく設定できたり, 保険料金が安くできる場合があるようです.警察の発行する無事故証明は, アメリカで保険を長期間かける場合(1,2年経過したとき)割引になるようで, 直接加入時にdiscountはできないようです. 保険料は通常半年で$700-$1,000になるようです.もちろん,これは年齢に よって大きく変動します. driver license 取得後,temporary license の免許番号を保険会社に 電話かファックスで知らせて,保険の契約を揺るぎないものにしておきます. 支払は通常パーソナルチェックで行いますが,その際(電話や電気料金を 払う時と同様に)アカウントをチェックにきちんと記載しないと, 処理をしてくれない場合があります.その時は支払期限後にキャンセルに なってしまいます.

交通違反の検挙について

交通違反の検挙については日本とほとんど変わりありません. ただし,検挙されたときに driver license だけではなく,保険の 証書もしくはそのコピーの提示を必ず求められます.無保険運転は $200〜300の反則金ですが,実際に自分は加入してる場合でも証書 がなければ無保険にされてしまう(さらに違反金が加算される) 可能性もありますので,証書は 車の中に常に入れておきましょう. スピード違反は20マイルオーバーで$160〜$180ぐらいです. (テキサスは他の州より反則金がかなり高額になっています) 反則金は money order にして郵送します.(personal check で よい地方もあります) 警察は市や郡などの自治体単位で運営されているので, 郵送先は大抵その地方の裁判所になります. 運転免許センター主催の Driving Safty Course を受ければ減額 することができますが,時間がかかりますし,添付書類の用意が 大変のようです. なお,検挙されても日本のように反則キップに指紋を押印する必要はありません.:-) サインです.